■夜叉ヶ池

演出:宮城聰,出演:SPAC
■静岡芸術劇場,2012.9.29-10.6
人間と妖怪がジュワーと融け合うのが鏡花の面白いところ。 でもこの作品は両者の出会う場面が無い。 しかも物語のキーパーソン百合の印象が舞台で薄過ぎた。 彼女の子守唄が白雪姫の剣ヶ峰を諦めさせ、萩原を急遽家に引き返させたのに・・。
百合の声は透き通っているけど科白に広がりと深みがなかった。 また彼女の背景となった舞台上の住居が想像力の無い古さを持っていたため余計に彼女を目立たなくしてしまった。 舞台美術も感心しないわ。
物語の展開場面はいいけど打楽器は百合に合わない。 むしろ弦楽器ね。 夜叉ヶ池の妖怪たちのドンチャン騒ぎ、村人と萩原の喧嘩騒ぎ、これと同じ<強さ>の百合でないと物語は面白くならないとおもうけど、どうかしら?