■世捨庵奇譚

■演出:大堀光威 、出演:温泉きのこ
■下北沢劇小劇場、2011.8.31-9.4
http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage21611_1.jpg?1414282061
■喪服の場面で始まりそして喪服で終わる、近頃よく見る芝居の形です。 葬儀や祖母や親戚などの言葉を並べると自ずと深層にある物語が見えてきます。 前半はよくわからないツマラナサで進みますが、後半殺人事件が舞台を引っ張り少し盛り上がります。
チラシに「・・演劇ってムダなものだと思ってやっています」と書いています。 芝居の奥に横たわっている近代世界、これをどうにかすることがムダと言っているようです。
たとえば風呂に入る順序の場面があります。 風呂は田舎では客への最大のサービスであり、入る順序は秩序を守るべきものです。 他に結婚観や親族の呼び方などにもポロッとこの世界が表れます。 刑事が妖しい者を外国人として尋問するところもです。そして終幕には決定的なお墓も登場します。 結局は古い制度にドップリ漬かったまま終わってしまいます。 だからムダと言っているのでしょう。 二人の刑事が歯切れの良いロックの乗りで舞台を引き締めていたのが印象に残りました。