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■能楽堂三月「袴裂」「武文」

*国立能楽堂三月特別企画公演の□2舞台を観る. □狂言・「天正狂言本」と古画による・袴裂■出演:野村又三郎,奥津健太郎,奥津健一郎 □能・復曲新演出・武文■出演:金井雄資,金井賢郎,宝生欣哉ほか ■国立能楽堂,2025.3.28-29 ■「袴裂(はかまさき)」は2年前に当劇場で観ている。 割いてしまった袴を二人が着けて舞う場面は笑ってしまった。 「武文(たけぶん)」は能より歌舞伎に近い。 いや、能が70%歌舞伎30%かな? 狂言方の比重が高いのが一因だが、程良いバランスだと思う。 20場面から構成されている。 前半はスピード感が半端でない。 火事場まで一直線だ。 早送りで観たような後味が残る。  複雑な内容を75分に巧くまとめ上げたのは企画演出の賜物だろう。 このあたりは「「武文」改訂について」(横山太郎)に書かれている。 クライマクスは終場の鳴門海上だ。 「・・手向けの衣の恨めしながらも、懐かしや」。 霊になっても迷う武文の心模様がジーンと迫ってくる。 船中の場では舵取の行動が目立った。 松浦某に少し分けてやりたいくらいだ。 役者たちは切れ味のある動きと声だった。 囃子も場面を盛り上げていた。 満足度は100%! 面はツレが「孫次郎」、後シテは「木汁怪士(きじるあやかし)」。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/3128/

■NHKバレエの饗宴2025

■指揮:井田勝大,管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 ■NHK,2025.3.23(NHKホール,2025.2.1-2収録) *下記の□6作品を観る. □「白鳥の湖」第2幕 ■振付:マリウス・プティバ,レフ・イワノフ,演出:三谷恭三,音楽:P・チャイコフスキ-,出演:秦悠里愛,小池京介,米倉太陽ほか,舞団:牧阿佐美バレエ団 □「ラ・シルフィード」からパ・ド・ドゥ ■振付:オーギュスト・ブルノンヒヴィル,音楽:レーヴェンスヨルド,出演:前田紗江,中尾太亮 □イサドラ・ダンカン風のウラームスの5つのワルツ ■振付:フレデリック・アシュトン,音楽:J・ブラームス,出演:佐久間奈緒,ピアノ:佐藤美和 □「椿姫」から3つのパ・ド・ドゥ ■振付:山本康介,音楽:F・リスト,出演:中村祥子,厚地康雄,ピアノ:佐藤美和 □「ロメオとジュリエット」バルコニーのパ・ド・ドゥ ■振付:ケネス・マクミラン,音楽:S・プロコフィエフ,出演:高田茜,平野亮一 □コンサート ■振付:ジェローム・ロビンズ,音楽:F・ショパン,出演渡辺恭子,林田翔平,中川郁ほか,舞団:スターダンサーズ・バレエ団,ピアノ:本田聖嗣 ■重量級の「白鳥の湖」を最初に持ってくるとは! 調子が狂ってしまった。 部分上演のため演目は吟味したほうがよい。 「ラ・シルフィード」の中尾太亮が若さを発散していましたね。 「椿姫」が一番気に入りました。 山本康介の振付が効いていた。 ストーリーもメリハリがあった。 ダンサーの二人も物語的に似合っていた。 衣装も良い。 「コンサート」は初めて観る作品です。 コメディバレエとは珍しい。 楽しく締めることができました。 *NHK、 https://www.nhk-p.co.jp/ballet/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、NHKバレエの饗宴 ・・ 検索結果は8舞台 .

■影のない女

■原作:フーゴ・フォン・ホーフマンスタール,訳:高橋英夫,演出:倉本朋幸,出演:寺中友将,清水みさと,山井祥子ほか,劇団オーストラ・マコンドー ■吉祥寺シアター,2025.3.24-31 ■役者の声が耳に入るが即すり抜けて霧散してしまう。 集中して聴かないと言葉の意味さえ蒸発していく。 戸惑いました。 詩小説を朗読している感じだが、その言葉は役者身体の奥から発していない(ようにみえる)。 棒読みに聞こえる場面が多々ある。 これが違和感の原因でしょう。 また組体操のような動きを入れてくる。 チェルフィッチュが微妙な動作で科白と身体の関係に迫るのとは違い、これが科白と役者の解離を一層大きくしてしまった(ように思える)。 ところで、ガラス張りで薄緑や薄青色に変化させる舞台床が映えていました。 そこに船を浮かべた場面は素晴らしい。 鷹の鳴声も舞台を引き締めていた。 後半、リズムがでてきて照明も忙しくなり盛り上がってきましたね。 この作品はオペラで観ています。 が、演劇は別物かもしれない。 チラシに「森鴎外が名訳を残した巨人ホーフマンスタールの深淵に迫る」と書いてある。 でも、深淵に入り込むことは残念ながら叶いませんでした。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/363351

■アレグリア

■振付:カデル・アトゥ,音楽:トム・ウェイツ,レジス・バイエ・ディアファン,舞団:アクロラップ ■NHK,2025.3.10-(パリ・シャイヨー宮,2019.11.26収録) ■「ヒップホップ・バレエ」とあったが初めて聞く言葉です。 しかしバレエには見えない。 強引に結びつけようとした言葉に聞こえる。 8人のダンサーが10数場面を展開している。 基調はブレイクダンスです。 繋ぎには規則性ある振付が多い。 それは子供を真似たように走り回り、またゲーム感覚を持ったダンサー同士の振付が多い。 後半、音楽の位置づけがはっきりしてきましたか? 途中に歌唱(録音)も入る。 これは日本語訳が欲しいですね。 床段差や布を使って波のように利用する場面もあり飽きさせない。 フランス的なところが見え隠れするのが気に入りました。 ヒップホツプダンスは上演を増やして欲しいところです。 *NHK、 https://www.nhk.jp/p/premium/ts/MRQZZMYKMW/episode/te/K9ZLW6L3PL/

■アイーダ

■作曲:ジョゼッペ・ヴェルディ,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,演出:マイケル・メイヤー,出演:エンジェル・ブルー,ユデット・クタージ,ピュートル・ペチャワ他 ■東劇,2025.2.28-3.13(メトロポリタン歌劇場,2025.1.25収録) ■インディー・ジョーンズの世界が出現? 幕開きに目を疑ってしまった。 ファラオの世界を探検家と「アイーダ」を平行して描いていくようだ。 前者はエジプシャンブルーで空間を染めていて、これは気に入ったが、しかし観ていて物語への集中力が落ちる。 生舞台でない為とも言える。 しかも探検家がエジプト財宝を奪っていくような描き方をしている。 演出家は凝り過ぎてしまった。 探検家オギュスト・マリエットのことはともかく、重量級の舞台は始まりから飛ばしていく。 歌手も重量級が多い。 力強い空気が舞台隅々まで広がっていく。 何回観ても痺れる。 衣装も素晴らしい。 将軍ラダメス役ペチャワも角が取れてきた。 なかでも光っていたのは王女アムネリス役ユディット・クタージ。 インタビューで当役を60回近く歌ってきたと話していた。 演じなくてもアムネリスが舞台に出現していた。 エンジェル・ブルーもエチオピア王女が「地」で似合う。 都会と田舎の対決かな? ところで凱旋場面に動物たちは登場しなかった・・! よくあるのだが。 今回はダンスが中心に置かれている。 私は気に入ったが、これは賛否両論があるだろう。 そして終幕、地下牢でラダメスとアイーダは息を引き取る。 この終わり方はいつ観ても寂しい。 華麗で力強い前半とは対極にある。 もう少し捻ったストーリーにすればテンションが落ちないのだが。 ヴェルディは普仏戦争勃発で終わり方を書き急いだのかもしれない。 *METライブビューイング2024作品 *MET、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/6005/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、マイケル・メイヤー ・・ 検索結果は3舞台 .

■能楽堂三月「八句連歌」「恋重荷」

*国立能楽堂三月普及公演の□2舞台を観る. □狂言・大蔵流・八句連歌■出演:山本東次郎,山本凛太郎 □能・観世流・恋重荷■出演:観世恭秀,坂井音雅,福王茂十郎ほか ■国立能楽堂,2025.3.8 ■「八句連歌(はちくれんが)」は借金の催促問答を連歌に込めた話である。 「連歌は中世最大の流行文芸」と解説にあったが当時の町民文化の質の高さが窺われる。 借手が連歌に長けていたので借金証文は破棄される。 これをみて借手は連歌と関係が深い天神信仰である菅原道真に感謝して終わる。  「恋重荷(こいのおもに)」は庭掃除の老人(シテ)が白河の女御(ツレ)に叶わぬ恋をする物語である。 シテ・ワキ・ツレ、それに地謡のバランスが良い。 全体の構成が整っている舞台だ。 切れ味がある動のシテと静のツレの対比も面白い。 老人の期待・不安・執念を描くのだがこれら感情表現が巧く抽象化できていた。 「阿古父尉(あこぶじょう)」から「重荷悪尉(おもにあくじょう)」へ面は替わるがどちらも恋から掛け離れている。 しかし違和感が無い。 感情を抽象化して昇華できた為である。 舞台芸術の醍醐味と言えるだろう。 ツレは「小面」。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/3124/

■能楽堂三月「口真似」「三山」

*国立能楽堂三月定例公演の□2舞台を観る. □狂言・大蔵流・口真似■出演:善竹忠重,善竹忠亮,善竹十郎 □能・観世流・三山■出演:観世銕之丞,観世淳夫,宝生常三ほか ■国立能楽堂,2025.3.5 ■口真似と言えば昨年末に「 察化(さっか) 」を観ている。 「口真似(くちまね)」も太郎冠者が主人の真似をする話だが冠者に諄さを感じる。 「・・主人の命を逆手にとり、口真似をする鸚鵡ではない自分を楽しむ」と解説にもあったが、冠者の行動が自己ループに陥り他者への広がりが見えないからだろう。 「三山(みつやま)」は一人の男と女二人の三角構造を持つ。 結局は一人が捨てられてしまう。 女たちの執念が凄まじい。 霊になっても現世に現れ互いに罵り合っている。 しかし最期は「後妻打ち(うわなりうち)」を果たし晴れて二人は消えていく。 能の一般型に準じた流れだが見処は女二人の争いと和解だろう。 ここは滅多に観ることができない。 劇的とは違った面白さがあった。 この作品は万葉集「香久山は畝傍ををしと耳梨と相あらそひき、神世よりかくにあるらし、・・、うつせみも嬬を争ふらしき」(天智天皇)を下敷きにしている。 面はシテが「曲見(しゃくみ)」、ツレが「小面」。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/3121/

■賭博者

■原作:F・M・ドストエフスキー,作曲:C・プロコフィエフ,指揮:ティムール・ザンギエフ,演出:ピーター・セラーズ,出演:チェン・ペイシン,アスミク・グリゴリアン,ショーン・パニカー他,演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ■NHK,2024.12.2-(ザルツブルク・フェルゼンライトシューレ,2024.8.12・17収録) ■幕開きから歌手たちは精神が高ぶっている。 オペラでは珍しいくらいの演劇的演技が続く。 加えてカメラは歌手のアップを多用する。 この過剰な演出は何だ!? 明暗の強い赤色系の照明に映像画面が染まっている。 この緊張ある舞台は何だ!? 主人公アレクセイや恋人ポリーナの意図も捕らえることができない。 観ていても厳しい。 終幕も近い後半、空飛ぶ円盤のようなルーレットが天井から降りてくる。 賭博に挑むアレクセイの大勝する場面が凄まじい。 ここで多くの謎が解ける。 舞台は、初めから終わりまで、この賭博の緊張が拡散していたのだ。 この張り詰めた充満はドストエフスキーと演出家ピータ・セラーズのコラボ成果と言ってよい。 投げられ回転しているボールの行方を見つめるあの短い時間に沸き起こる極限へ向かう高揚感が全ての歌手に塗り込められていたのだ。 *ザルツブルク音楽祭2024作品 *NHK、 https://www.nhk.jp/p/premium/ts/MRQZZMYKMW/episode/te/ZW6V3Z25NJ/

■能楽堂二月「老松」「弓矢太郎」「雷電」

*国立能楽堂二月企画公演の□3舞台を観る. □舞囃子・金剛流・老松(紅梅殿)■出演:金剛永謹,金剛龍謹ほか □狂言・和泉流・弓矢太郎■出演:野村万蔵,野村万之丞,小笠原由祠ほか □復曲能・雷電(替装束)■出演:宝生和英,宝生欣哉,野口能弘ほか ■国立能楽堂,2025.2.28 ■舞囃子「老松」は能の舞事部分を面・装束を付けずに紋付袴姿で演ずる。 ツレの紅梅殿が真ノ序の舞、シテ老松がイロエ翔リを舞う。 「弓矢太郎」は前半と後半に分かれ狂言にしては長い。 臆病な太郎を驚かそうとした天神講の頭である当屋が逆に驚かされてしまう話。 出演者も8人と多い。 「雷電」は比叡山座主の法性房と菅原道真の霊の再会と対立を描く。 道真は後場の動きが鋭い。 シテ面は「三日月」から「筋怪士(すじあやかし)」へ。 今日は菅原道真特集であった。 しかし昨晩の寝不足がたたり舞台に集中できなかった。 残念! *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/2108/

■ハンマー

■振付・美術・照明:アレクサンダー・エクマン,音楽:ミカエル・カールソン,出演:エーテボリ歌劇場ダンスカンパニー ■NHK・配信,2025.2.17-(スエーデン・エーテボリ歌劇場,2022.12.7・10収録) ■NHKは2023年放映の当作品を再び配信している。 振付家アレクサンダー・エクマンの7月初来日に合わせたのかな?、と言うことで早速観ました。 彼の振付は初めてです。 ・・幕が開き、ダンサー30人が揃って動き回っているが、舞台の広さが並みでない。 ちょっとした運動場でしょう。 床は一対の大きな男女の顔写真が引き伸ばされて張ってある。 いつのまにか衣装を纏ったダンサーたちが思い思いに駆け巡り踊りだす。 まるで子供の遊戯を大人化したような振付です。 そしてダンサーたちは客席に侵入しだす!、それも客の頭越しにです。 客と会話をしたり写真を撮りあったりする。 ダンサーは再び舞台に戻り前半が終わります。 後半、舞台の床が黒光りに反射するなか、ダンサーたちは黒衣装とサングラスをかけてパントマイムのような動きをバラバラとやりだす。 次にテレビのバラエティショーが始まりトークやコントを入れる。 その後ブロック片を持ち出し積み木のように積み上げたり崩したりする。 ハンマーで鐘をたたき、再び揃って動き回り幕が下りる・・。 何でも有りですね。 舞台や客席そして観客を十二分に活用している。 ダンス界の寺山修司ですか?  広い空間を使い熟せる振付家です。 2024年パリ・パラリンピック芸術監督兼振付を担当しただけはあります。 初来日が楽しみですね。 *NHK、 https://www.nhk.jp/p/premium/ts/MRQZZMYKMW/episode/te/Z82LQ3N8NW/