■テーバイ

■原作:ソポクレス「オイディプス王」「コロノスのオイディプス」「アンティゴネ」,演出:舟岩裕太,出演:植本純米,加藤理恵,今井明彦ほか
■新国立劇場・小劇場,2024.11.7-24
■ソポクレスの3作を一つにまとめた舞台です。 「オイディプス王」はコンパクトにまとまっていて楽しく観ることができた。 神託が舞台の面白さを深めていますね。
次の「コロノスのオイディプス」は初めて観ます。 オイディプスの家族が前面に現れてくる。 家族の広がりは新鮮です。 今井明彦がオイディプスを見事に演じていたのが印象的でした。
「アンティゴネ」は<家族の物語>から<倫理と法律>へと舵を切る。 そこにはクレオンがいる。 彼は20世紀の独裁者のように描かれます。 クレオンを押し出し過ぎて<家族の物語>が薄まったように感じる。 でも、神託・家族・国家の三つが拮抗している三作を一つにすることでオイディプスの全体像を浮かび上がらせたのは確かです。
*「ブログ検索🔍」に入れる語句は、船岩裕太 ・・検索結果は2舞台.
*追記・・購入してあったプログラムを読む。 「・・船岩君はクレオンに注目するとのことだが、まさにこれは近代主義を理解せぬまま近代国家へと移行した私たちの近代、その再検討以外のなにものでもない」(「船岩裕太とリアリズム」(鐘下辰男著))。 クレオンの行動こそ現代日本で続いている近代なき国家と同じであることに納得します。 それと「死と生物学と演劇」(小林武彦著)を面白く読む。 「・・積極的に寿命を縮める働きのある遺伝子の存在に気が付く・・」。 これは現代に届く神託の声かもしれない。