■能楽堂七月「文荷」「弱法師」

*国立能楽堂七月定例公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・文荷■出演:野村万禄,吉住講,野村万之丞
□能・喜多流・弱法師■出演:香川靖嗣,殿田謙吉,上杉啓太ほか
■国立能楽堂,2024.7.3
■世阿弥自筆本では「弱法師(よろぼし)」にツレが添う。 今回は原本から離れた現行の演出である。 やはり弱法師は一人で登場しないとサマにならない。 この作品はツレがいると<演劇的>、一人だと<舞踏的>に近づく。
・・盲目の俊徳丸は難波風景を心眼で見るが、現実に戻り群衆の中に倒れ伏してしまう。 そして父から逃げようとするが、最後は共に家へ帰る・・。 前場からの淡々としたリズムを後場も持ち続けていた。 <演劇的>動きを抑えていて気持ちが良い。 <舞踏的>存在感を堪能できたのが嬉しい。 面は「弱法師」。
「文荷(ふみにない)」は主人が少人に書いた恋文を冠者に届けさせようとする話。 しかし冠者は途中で恋文を破り捨ててしまう。 能「恋重荷」をパロディにしているらしい。 中世男色文化を舞台は批判的に描いているようにみえる。