■能楽堂十二月「鳴子遣子」「遊行柳」

*国立能楽堂十二月定例公演の□2舞台を観る.
□狂言・鳴子遣子(なるこやるこ)■出演:善竹忠重,善竹忠亮,大藏教義
□能・喜多流・遊行柳(ゆぎょうやなぎ)■出演:塩津哲生,宝生常三,舘田善博ほか
■国立能楽堂,2023.12.6
■今日の2作品は西行法師が絡んでいる。 雀を田圃から追い払う竹道具の名前は鳴子か?遣子か?を言い争う「鳴子遣子」。 ここに仲裁者が入り西行の和歌(偽作らしい)を詠んで判定を導く。 なかなか笑える。
柳の精が主人公の穏やかな作品「遊行柳」は後場が「柳尽くし」の修辞に溢れている。 ここでシテの動きが微妙に揺れてきた。 体調不良か? 「・・風にただよう足もとの、弱きもよしや老木の柳、気力のうして弱々と、・・」と謡うからには演出か? どちらか?よく分からないで観ていた。
シテ面は「三光尉」から「石王尉」に替わる。 ヒトなら90歳から120歳へと一気に老いた顔に変わる。 しかも作品に太鼓が入る。 シテは太鼓に導かれて舞を舞っているようにみえる。 聴き応えのある詞章に、相反する強いリズムと弱い舞いを融合させて面白い舞台にしていた。