■能楽堂十二月「苞山伏」「葛城」

*国立能楽堂十二月普及公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・苞山伏(つとやまぶし)■出演:能村晶人,炭光太郎,小笠原由祠
□能・観世流・葛城(大和舞)■出演:井上裕久,福王和幸,村瀬堤ほか
■国立能楽堂,2023.12.9
■プレトーク「岩橋説話と女神の舞」(山中玲子)を聴く。 本日の2作品は葛城山と関わりのある山伏が登場する。 葛城山とは現在の金剛山らしい。 古事記「一言主」から清少納言や和泉式部そして今昔物語まで興味深い話が続く。 五衰や三熱、加えて役小角(えんのおづぬ)の縛り、この三重苦に喘ぐ女神の運命や如何に! そして彼女は醜顔だがこれは人間基準より神基準でみるのが妥当、きょうのシテ面も「深井」から「増」へ繋げていた。
「苞山伏」は囃子付きで楽しい。 山伏をみていると古い漫画や映画のシーンを思い出してしまった。 苞(つと)は藁などで包んだもの。 ここでは弁当を指す。
「葛城」は深々とした雪世界を描いている。 それが後場になると一変する。 雪の岩戸から登場した、蔓紅葉を纏う後シテの艶やかな姿は予想を越えていた。 そこで大和舞を舞う。 舞台の面白さが十二分に出ている。 しかも緊張感を持って観ることができた。