■トロイアの女 ■世界の果てからこんにちはⅠ

■演出:鈴木忠志,原作:エウリピデス,出演:藤本康宏,齊藤真紀,佐藤ジョンソンあき他,劇団:SCOT
■吉祥寺シアター,2023.12.15-23
■「トロイアの女」は苦手です。 物語が見え難いのも一因でしょう。 黒澤明の時代劇に登場するような衣装を纏う役者の動きや言葉、その独特な様式美に目と耳が唸ります。 主人公の老婆は拳が入り過ぎて声が歪んでいたが、七輪を取り出してから言葉に生気が戻ってきた。 前半は劇画調に近づきすぎたようにみえる。 しかし日本の敗戦にも重なる終幕で悲劇が昇華できたと確信できる舞台でした。
映像「世界の果てからこんにちはⅠ」は初めて観る作品です。 SCOT作品群の各場面がコラージュされている。 そして戦中戦後に戻ったかのように天照大神、海ゆかば、楠木正成、国民健康が話題になり、軍歌?や進軍ラッパが聞こえ美空ひばりや島倉千代子が歌う。 記憶、歴史、物語にさらば! 閉塞した日本を憂慮する舞台でした。
鈴木忠志のアフタトークを聴く。 「今年はハンガリーやインドネシア演劇祭などで上演した」「(アウェーの)劇場は照明調整だけでも数日かかる」「海外はともかく国内は赤字になってしまう」「花火代も上がったが続けたい」「利賀では劇団30人でカボチャを作り草取をしてヤクザ映画を観ている」「もはやアナクロ劇団である」「すでに85歳だ。 でも来年は新作を持ってくる。 たぶんこれが最後」などなど。 一年の締めくくりとして年の瀬の吉祥寺公演は続けて欲しい。
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