■デッドマン・ウォーキング

■作曲:ジェイク・ヘギー,演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,出演:ジョイス・ディドナート,ライアン・マキニー,ラトニア・ムーア他
■東劇,2023.12.8-14(METメトロポリタン歌劇,2023.10.21収録)
■死刑囚ジョセフと修道女ヘレンの交流を描いたMET初演のオペラ。 でも舞台はもはや演劇と言ってよい。 その歌詞があまりにもリアルなため歌唱が科白として耳に届き、「刻一刻と時を止めない」演奏はその科白に共鳴吸収されてしまったからよ。
先ずは被害者になる若者の殺害場面が強烈に映し出され観客の脳裏にこびり付いてしまうの。 加害者ジョセフは無罪を主張し謝罪の言葉もない。 彼のカウンセリングを引き受けたヘレンの苦悩が続いていく。 そこで彼女の同僚ローズが「言葉ではなく身体に繋がる共感が必要」と助言する。 ジョセフとヘレンはエルヴィス・プレスリーの過去の体験を共有し心を開いていくが、薬殺による死刑の日時が迫りつつある。 さいごのその時ジョセフは罪の赦しを請い、<愛の顔>ヘレンに見送られていく・・。
キリスト教の濃い作品だが、それを越えた感動があるわね。 米国の死刑制度もみえてくる。 手続きや死刑場面がとても具体的だったからよ。 無宗教が多い日本の場合にも思いが及ぶ。 オペラとしては異色の内容だった。 ヘレンがアンゴラ刑務所へ向かうドライブ映像のユニークさ、刑務所内の抽象化された過激な光景が印象的ね。 次回の「マルコムX」も期待できそう。
*METライブブューイング2023年作品
*「ブログ検索🔍」に入れる語句は、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ ・・検索結果は9舞台.