■能楽堂七月「魚説経」「阿漕」

*国立能楽堂七月普及公演の□2舞台を観る.
□狂言・大蔵流・魚説経■出演:善竹十郎,大藏吉次郎
□能・金剛流・阿漕■出演:今井清隆,宝生常三,茂山千三郎ほか
■国立能楽堂,2023.7.8
■先ずはプレトーク「原罪としての殺生」(宮本圭造解説)を聴く。 仏教の不殺生と不所有から2作品を解説する。 仏教の教えが芸能に残った理由は人々の罪を能・狂言が背負った為である。 しかも舞台に乗せることで聖なる領域に入り易くなる。 仏教と芸能のウィンウィン関係である。
「魚説経(うおせっきょう)」は60もの魚名が登場する。 仏教パロディの極致と言ってよい。 「阿漕(あこぎ)」はシテの科白が多いので最後まで緊張が続いた。 前場でシテが嵐の海に沈んでいくようす、後場では網を仕掛けてから橋掛り三の松まで魚を追い求める姿は、まさに「・・罪の所業を再現し、懺悔してこそ霊魂は浄化する」(村上湛)とおりである。 シテはこれからも地獄で苦しむようだが、久しぶりのスカッとした舞台だった。 ジメッとした7月を吹き飛ばした。 シテ面は三光尉から痩男へ。
*追記・・盲導犬を連れた客を見る。 私と同列の端二席(犬用も)に座ったが、(犬好きの私だが)今日は犬に挨拶するのはやめておいた。