■アダムとイヴ、私の犯罪学

■作:寺山修司,演出:J・A・シーザー,高田恵篤,出演:伊野尾理枝,小林佳太,木下端穂ほか,劇団:演劇実験室◎万有引力
■ザスズナリ,2023.6.30-7.9
■初めて聞く作品だが、中身は調べないで劇場にいきました。 トルコ風呂「エデンの園」の2階に間借りする家族4人の物語らしい。 立地や名前の付け方は唐十郎的です。 でも唐とは真逆の方向へ、いつもの寺山世界へ真っ直ぐに落ちていく。 その舞台は幾何学的無機質な造りになっていて床を剥がすとそこは天国・・!?
母親は禁断の果実の林檎をいつも食べている。 旧約聖書を意識して頭巾を被った聖職者も時々登場する。 それにしても話が進まない。 気の利いた台詞が数ヶ所あったが今は思い出せない。 聖書世界と4人の家族の結び付きが見えない為です。
後半、母と子の葛藤が見えてくる。 息子は家出をしたい! ロビンソン・クルーソーになりたい。 母を精神病院に入院させようとする場面が佳境でしょう。 前半は作者の迷い(のようなもの)が感じられた。
印象に残ったのは、家族4人各々の存在感が出ていたことでしょう。 特に母と二人の息子は科白に淀みがなく声も良く動作にも切れがあった。 若すぎる母は色気もあり舞台を華やかにしていた。 息子の一人は若松武史を意識しているのでしょうか? 近頃の万有引力は舞台の隅々まで熟れている。 良い意味でも悪い意味でも安心して観ていられます。
*寺山修司没後40年記念公演第2弾
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