■能楽堂六月「縄綯」「国栖」

*国立能楽堂六月定例公演の□2舞台を観る.
□狂言・大蔵流・縄綯■出演:大藏吉次郎,大藏教義,大藏彌太郎
□能・観世流・国栖(白頭・天地之声)■出演:武田尚浩,武田祥照,武田崇史ほか
■国立能楽堂,2023.6.7
■「縄綯(なわない)」は昨年3月に観ている。 其時の感想には「バートルビーズ」のことを書いた。 今回は素直に面白かった。 畳み掛けていく悪口も苦にならない。 演者の年齢と演技が時代を遡り、悪口を生きたまま化石化させた為である。
「国栖(くず)」は緩急あるダイナミックな舞台だった。 これは詞章を読むだけでは分からない。 浄御原天皇が子方で舞台は和む。 ワキ三人の上歌も力強い。 鮎之段では鮎の塩焼きの旨さ、また落語「しわい屋」も思い出させる。 天皇が布張りの舟に隠れて追ってから逃れるリアルな場面もある。 天女の舞のあと、バッと飛び出してくる蔵王権現の躍動ある謡と動きに驚く。 シテ面は「三光尉」から「不動」へ、ツレは「姥」から「小面」へ。 いゃー、楽しかった。