■ブレスレス、ゴミ袋を呼吸する夜の物語

■作・演出:坂手洋二,出演:鴨川てんし,川中健次郎,猪熊恒和ほか,劇団:燐光群
■スズナリ,2022.7.15-31
■前半はコロナで公演中止になってしまった。 再予約をする。 当日清算は払戻も不要だ。 単純システムの良さだろう。
場内を見渡すと男性7割、内60歳以上が6割と言ったところか? ひどい混みようだ。 ハイカラな女性が開幕直前に入ってきたが、ダラッとした観客の姿を見るや否や、そそくさと逃げて行ってしまった。 暑いので自宅に居るような姿も何人かいる。 慣れない客には酷な光景かもしれない、幕が開けば気にならないが。
その幕が開いてすぐに唐十郎の舞台に引きずり込まれる錯覚に陥ってしまった。 ゴミ袋の中で役者が吐く科白や聴こえる音楽が唐風だったからだ。 しかも徐々に山崎哲風に収斂していく・・。 ゴミ教団というカルト系を登場させたからだろう。 面白い出足だった。
不満な点は、駅ホームで人を殺してしまった?女とその周辺にまとまりが無かった。 物語の本流に無理やりくっ付けたようにみえる。 現実レベルが他と違うからだ。
「・・21世紀まで3912日」の科白があったので初演が1990年頃と知る。 いま演出家の挨拶文を読むと「千石イエス」「天皇葬儀」「オウム真理教」「坂本弁護士失踪事件」などなど。 そこに「リア王」を被せてゴミ問題を論じている。
古臭さが漂っていたが、教団のパパと娘たちのゴミ対話、その行方は現代そして未来をも射程に入れている。 面白い物語だった。 帰りは新しくできた下北ミカンをブラブラする。
*第35回岸田國士戯曲賞受賞
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