■ハムレット

■作曲:ブレッド・ディーン,指揮:ニコラス・カーター,演出:ニール・アームフィールド,出演:アラン・クレイトン,ブレンダ・レイ,サラ・コノリー他
■新宿ピカデリー,2022.7.15-21(メトロポリタン歌劇場,2022.6.4収録)
■「ハムレット」のオペラは初めて、しかも幕が開いて「生きるべきか死ぬべきか」の一声で始まり・・、それにしても音楽が忙しい。 雑音が混じっている? このため歌詞が聴き難い。 気にかかる。
指揮者のインタビューを聞いて疑問が解決したの。 金属棒やバネを使い、石どうしをぶつけたり、ペットボトルを潰す音を取り入れているらしい。 またピット内に合唱団員を少数配置し破裂音などを担当させ、会場横にも楽器を置き立体的にしている。 ずいぶん凝っているわね。
でも物語りの展開はよかった。 主要な約10場面をほぼ独立に繋ぎ合わせていくからテンポがある。 数場面が過ぎてから調子に乗ってきたわよ。 ハムレット役アラン・クレイトンは道化的な動作を取り入れている。 演技派と言える。
原作から外れる箇所は、ローゼンクランツとギルデンスターンが英国にも行かず終幕までカウンターテナーでスパイスを効かせていたことかしら。 それと、旅芸人の得意な科白が「生きるべきか死ぬべきか」だって!
オペラというより演劇を観たような後味が残る。 理由の一つに音楽が雑音のように聴こえ背景に退いてしまったから。 生舞台ならここまでなかったはずよ。 でも記憶に残る「ハムレット」になりそう。
*METライブビューイング2021作品