■ペレアスとメリザンド

■原作:M作曲・メーテルリンク,作曲:C・A・ドビュッシー,指揮:大野和士,演出:ケイティ・ミッチェル,出演:ベルナール・リヒター,カレン・ブルシュ,ロラン・ナウリ他,管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
■新国立劇場・オペラパレス,2022.7.2-17
■ドビュッシーの舞台と言えば「牧神の午後」かな、でもオペラは初めて。 錯綜する時間のなか、全てが未完のまま揺れ動いていく音楽と物語の流れに身動きがとれなくなってしまった。 それはメリザントの分身?を登場させ、逆歩きで時間を遡上し、しかも暗幕で周囲を隠した小さな舞台に視線を集中させて緊張感を高めていたからよ。 ペレアスの内面が見えないから不安も募る。 そして三角関係の結末だけが近づいて来る・・。
ここで演出家のインタビューを読む。 「ドビュッシーは・・、テキストは追加の楽器であり・・、楽器の音と語音を区別しない・・」。 なるほど納得。 「メーテルリンクにチェーホフの影響がみえる・・」。 たしかに。 「メリザンドが夢を見ている設定にした・・」。 演出家は考え抜いたと思う。 しかし神経質なところがでてしまった。 もう少し図太く構えてもよかった。 そうすれば、美術が面白いから、絵画的な感動もしっかり現れたはず。 それでも象徴主義的な原作・音楽・美術を一つにして閉じ込めた稀有な舞台だったことは言える。 この雰囲気はなかなかのものね。 楽しかったわよ。
*NNTTオペラ2021シーズン作品