■能楽堂三月「縄綯 なわない」「箙 えびら」

*国立能楽堂三月普及公演の下記□2作品を観る。
□狂言・和泉流・縄綯 なわない■出演:松田高義,奥津健太郎,野口隆行
□能・観世流・箙 えびら■出演:杉浦豊彦,大日方寛,井上松次郎ほか
■国立能楽堂,2022.3.12
■プレトーク「三つの世界を流れる生田川」(横山太郎)を聞く。 三つとは「来る年の矢の生田川・・」の時象徴の川。 二つ目が修羅世界の「血は涿鹿の河となり・・」。 そして三つ目、梶原景季が修羅の戦いの最中に「心を静めて見れば、所は生田なりけり、時も昔の春の、梅の花さかりなり、・・」と瞬時に平座になって我にかえり、一ノ谷に向かう直前の生田川風景を現前させる。 修羅道の舞は重たかったが一ノ谷再現からは軽やかにみえた。 時空の転換に驚くばかりである。
狂言「縄綯」がH・メルヴィルの「バートルビーズ」に似ているとの指摘があった。 主人公は「・・したくない」と言って主人の頼みを拒否する話である。 しかし哲学的な内容より太郎冠者の身勝手な行動が前面に出ていたようにみえる。 主人の妻や子供の悪口もいただけない。