■能楽堂三月「袴裂 はかまさき」「岩船」

*国立能楽堂三月特別企画公演の下記□2作品を観る。
■国立能楽堂,2022.3.25-26
□狂言・袴裂■出演:野村又三郎,奥津健太郎,奥津健一郎
■小田幸子のプレトークを聞く。 「天正狂言本」と江戸時代の「狂言絵」をもとに新たな解釈を加えて蘇らせた舞台らしい。 一着しかない袴を切り裂き、太郎冠者と舅の二人がエプロンのように付けて聟入りの対応をする話である。 袴は繋がっているので二人は一緒に行動しなくてはならない。 舞いの場面では珍しく笑ってしまった。
□復曲能・岩船■出演:大槻文蔵,大槻裕一,福王和幸ほか
■天野文雄のプレトークを聞く。 彼の著書・編著には目を通すことが多い。 祝言能に前場を復元、後場は天探女(あまのさくめ)が岩船に乗って登場し龍神がその船を牽引し住吉の浦に着岸させるという舞台である。
前場から囃子の大鼓、ワキの臣下・隋臣それに供女に力強さがみえる。 緊張が感じられる。 後場の天探女の舞、つづく竜神登場と舞は圧巻である。 探女の静と龍神の動が見事に噛み合っている。 岩船や宝珠などの小道具も舞台を程よく修飾している。 全体の流れもよく考えられている。 脇能で興奮するのは久方ぶりだ。