■能楽堂三月「牛馬」「朝長」

*国立能楽堂三月定例公演の下記□2作品を観る。
□狂言・大蔵流・牛馬■出演:善竹隆司,善竹隆平,茂山千三郎
□能・金剛流・朝長■出演:金剛永謹,福王茂十郎,福王和幸ほか
■国立能楽堂,2022.3.2
■馬を引き牛を追う動きだけでその風景が立ち上がる。 現代と違い、家畜が入ると心が和む。 博労たちのセコセコした様子との対比が面白い。 
「朝長」は前シテと後シテが別人の為か物語が繋がっていかない。 しかも登場した朝長は戦いに忙しい。 青墓宿長者と旅僧が語る朝長への言葉を膨らませて主人公の心を覗くしかない。
しかも舞台上の長者と朝長が別演者にみえてしまった。 前場のある場面で長者がよろけそうになり観ていて緊張したが、後場は声も動きも朝長が生き返ったかように若々しかった。 ブログラムには両シテ役ともに金剛永謹と書かれていた・・!?  
この作品は朝長はもとより父兄弟の最後の場面が繰返し語られる。 作者は源氏一族のゴシップを描きたかった? 観世元雅が活躍した頃の「平治物語」は未だ同時代だったのだろう。