■バートルビーズ

■作・演出:坂手洋二,劇団:燐光群
■ザスズナリ,2015.8.24-9.9
■ロックバンドの話だと思ったら大間違いよ。 主人公は「・・そうしないほうがよいのです」が口癖なの。 福島県の病院、ウォール街の法律事務所、学校、・・主人公は至る所に出現する。 やんわりと先の科白を発して仕事などを拒否するから周囲の人たちは大変ね。 ひっそりと暮らしていくのかと見ていたけど違うの。 「原子力明るい未来のエネルギー」の看板撤去を阻止するなどの行動に出る。
H・メルヴィルの小説を題材にした作品。 主人公のこの科白は破壊的な性格を持つもの、個人の意志を越えたもの、絶対的な拒否を含んでいると話題になっていたようね。
バイタル・フィーリング(生きる意志)が感じられない主人公の科白に強い世界志向が含まれているらしい。 弱い表現と強い意味、この矛盾が世界へ働きかける時どのような行動をして一致させればよいのか? 主人公は精神病患者や郵便局配達不能便が何であるかを知っているようね。 これを現代の政治や社会問題に応用させていく。 でも終幕へ繋がる過程がコンガラカッてよくわからなかった。
強弱あるリズムをベースに台詞を分散させたり複数物語を同時表現していて舞台完成度が高かったように思う。 舞台と客席の間の壁から病院事務長の顔がニョッキリ現れたり、原子力PR看板に見立てて主人公がよじ登るのもドキッとする面白さがあったわ。
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/67074