■コーカサスの白墨の輪

■作:B・ブレヒト,演出:江原早哉香,出演:東京演劇集団風
■レパートリーシアターKAZE,2015.8.22-30
■生みの母と育ての母の子供を取り合う話は知っていましたが作品を観るのは初めてです。 進行役が登場し人物の紹介や状況を説明していきます。 しかも歌唱で表現することが多い。 舞台に厚みを出していました。 役者と観客の間には親密さも漂っています。
前半は育ての母の子供への献身が続きます。 しかし丁寧に描いている割には母子の愛情が積み重なっていかない。 喜怒哀楽よりその行為や関係そのものを優先している感じがします。
生みの母とその周辺の人々は等身大の人形です。 人形を通すと舞台を客観的に見つめられるからでしょう。 途中から浄瑠璃で使うような小さな人形も登場します。 背のない子供なら構いませんが二種類の人形を使い分ける理由がわかりません。 また進行役以外の歌唱もありますが取って付けた感が否めません。 どちらも中途半端です。
後半は裁判ですが前半とはリズムが違います。 こんなにも話が飛ぶとは知りませんでした。 二親の子供の引っ張り合いの舞台装置は凝っていますが淡々としています。 チラシに「・・育ての母グルシェと俄裁判官アツダクの二人の話が最後の白墨の輪で出会う・・」とありますが必然性は感じられません。 偶然を束ねたようなストーリーですね。 これで事務的な感じも強くしたのでしょう。 進行役がいなければ舞台は分解してしまったのではないでしょうか?
*劇団サイト、http://www.kaze-net.org/repertory/rep_kaukasische