■彼らの敵

■作・演出:瀬戸山美咲,劇団:ミナモザ
■こまばアゴラ劇場,2015.7.25-8.34
■パキスタンで誘惑された大学生が帰国後パパラッチに追われる。 ・・彼もいつしかパパラッチのカメラマンになるが女性ライターに窘められパパラッチを辞めようとする話である。
誘惑事件の週刊誌記事を巡って関係者が集まる場面で「事実は見方により人それぞれ違ってくる」ような台詞で終わってしまうのは勿体ない。 「警鐘を鳴らす」背後にある正義感の胡散臭さだけが残ってしまった。 スポーツ選手の写真を前に女性ライターがカメラマンの心の移り変わりを非難するのも同じである。 仕事で正義の仮面を被ってしまい方向を誤ることはよくある。
言葉を展開しないで幕が下りてしまった作品にみえる。 ジャーナリズムが対象だし対話場面ではあと数セリフの言葉を積み上げてもよいとおもうが?
挑発的な題名である。 「同じ正義」を持たないと敵になるのだろう。 敵や味方は流動性を持ち変化していくのが健康的だが近頃はガチガチに固め過ぎている。 カメラマンがこれをどう捉えようとしているのかよくわからなかった。
*劇場、http://www.komaba-agora.com/play/1671