■能楽堂一月「二千石」「求塚」

*国立能楽堂一月特別公演の下記□3作品を観る。
□仕舞・雲林院■出演:梅若万三郎,青木健一ほか
□狂言・二千石■出演:茂山七五三,茂山宗彦
□能・求塚■大槻文藏,森常好,茂山逸平ほか
■国立能楽堂,2022.1.26
■「求塚」は面白く観ることができた。 若菜摘み3人の白装束が新鮮だ。 シテの存在感は十分に出ていた。 特に後場の声と動きは劇的ともいえる。 身体の存在力が地獄に打ち勝っていた。 この力で彼岸が溶解し此岸に引き寄せられてしまった。 地獄の苦しみはこの世の苦しみそのものであり、世界と人の間には埋められない事象が多々ある。 この境地に達して処女の霊は消えていく・・。
兎名日処女が地獄へ落ちた理由は諸説ある。 しかし謡本を開くだけでは分からない。 今日の演者をみて彼女自身に原因があるとは思えなくなった。 普遍への志向性が感じられたからだ。 戯曲は別物だ。 考えさせられる舞台だった。