■ボリス・ゴドゥノフ

■作曲:M・ムソルグスキー,指揮:セバスティアン・ヴァイグレ,演出:スティーヴン・ワズワース,出演:ルネ・パーペ,デイヴィッド・バット・フィリップ,マクシム・パステル他
■新宿ピカデリー,2022.1.21-27(メトロポリタン歌劇場,2021.10.9収録)
■粗筋だけを読んで映画館へ行った為か直ぐには物語に入り込めない。 ボリスは何に恐れ、なぜ苦しんでいるの? 皇子ドミトリーを暗殺して手に入れた権力だから? いや、もっと奥がある・・。
多くの地名や川の名前が歌詞に登場するがイメージが付いてこない。 ロシア皇帝の名前も。 これらの風景や人物像が浮かんだら豊かな舞台になったはず。
全てを覆うロシア正教がコロス(合唱団)を動かし、小さな波が繰返し押し寄せてくる達成感の無いリズムで充満している。 しかし、これが少しずつ充実感として貯められていくの。 変わった舞台だわ。 こういうオペラも悪くない。
宗教と権力が縦糸と横糸になり編み上がっているようにみえる。 しかしその織物は荒い。 プーシキン物語もムソルグスキーも遠い時代にみえる。 でも息子を後継者に指名し息絶えるボリスは権力者そのものね。 横糸はなんとか解けたかな? 
*METライブビューイング2021作品