■冬の旅 Winterreise

■作曲:F・シューベルト,振付:クリスティアン・シュプック,指揮:ベンジャミン・シュナイダー,管弦楽:フィルハーモニア・チューリヒ,歌唱(テノール):マウロ・ペーター,舞団:チューリヒ・バレエ団
■NHK・配信,2021.9.19-10.3(チューリヒ歌劇場,2021.2.12-13収録)
■小雪が舞う冷え冷えする舞台に蛍光灯の照明、黒系衣装に青白い化粧。 それに歌詞が呼応する。 死に寄り添う若き旅人。 にもかかわらずダンサーは身体の中心から手足をキリッと伸ばし機械のように正確な動きをする。 これで歌詞とダンスの関係に違和感が最初は続いた。
「冬の旅」は24の歌曲からなる。 舞台もそれに沿う。 後半に入り少しずつ舞台と同期していくのが分かる。 違和感が薄れていく。 旅人と同じ道を歩いている感覚に陥る。
終曲の「辻音楽師」は旅人が年老いた楽師についていく歌唱だが劇的である。 旅人は<あるがままに受け入れる>心境に達したのだ。 同時に24曲が一つにまとまり感動としてやってくる。 作曲した頃のシューベルトのことなど色々と考えてしまった。