■ある八重子物語

■作:井上ひさし,演出:丹野郁弓,出演:篠田三郎,横島亘,藤巻るも他:劇団民藝,こまつ座
■NHK・配信,2021.9.5-19(紀伊国屋サザンシアター,2021.6収録)
■時代は1941年から46年、柳橋で経営する古橋医院に出入りする人々を描いている作品です。 茶の間には水谷八重子の写真が飾ってある! ここの住人、院長から看護師事務員そして女中まで新派が好きで好きでたまらない。 日々のなか鏡花の名セリフを競い合っている。 医院は新派中毒患者で一杯です。
舞台には時代の雰囲気が漂い町内の小さな事件や日常のこまごまとした生活がみえてきます。 しかし新派の話題が戦中戦後の暗さを吹き飛ばしている。 とは言っても大きな事件は登場しない。 院長と芸者花代との恋愛事件、芸者ゆきえの弟が「女形の研究」を論じ演じる場面、花代の父が打つ拍子木の回想くらいです。 井上ひさしが持つ、いつもの毒が無い。 たぶん新派への敬意を表す作品として作ったのかもしれない。 それで納得しました。
*劇団民藝+こまつ座公演
*「ブログ検索」に入れる語句は、 井上ひさし