■娼婦・奈津子

■作:趙博,演出:金守珍,出演:広島光,島本和人,蜂谷眞末ほか,劇団:梁山泊,演奏:趙博,ジャン・裕一,神谷沙奈美ほか
■スズナリ,2021.9.11-20
■いつもの梁山泊とは違ったリズムを持つ舞台でした。 二つあります。 それはバンドが入り役者も演奏し歌う場面が多い、そして法廷場面が長かったためです。 主人公奈津子が殺人を犯してしまった! ロック系の演奏と殺人罪の裁判を如何に同期させるかが見所です。
どうして奈津子が娼婦になったのか? 裁判で明らかにされていく。 義父との関係や母の傍観など衝撃的な過去が暴かれるが迫ってこない。 物語の深みへ降りていくところを演奏が代替したからでしょう。
奈津子は娼婦という<職業>にプライドを持っていた。 娼婦は職業や性の差別から逃れられないのか? 人生の大事な分岐点では報酬(カネ)は主役になれない! その答えを音楽で体感し考えてくれと言っているような舞台でした。
趙博の作品を金守珍が演出する舞台では演出家がいつも遠慮している。 作家に敬意を払っているとみました。
*新宿梁山泊第71回公演