■あの出来事

■作:デイヴィッド.グレッグ,翻訳:谷岡健彦,演出:瀬戸山美咲,南果歩,小久保寿人ほか
■新国立劇場.小劇場,2019.11.13-26
■学校の講堂に居るようだ。 ピアノや椅子が置いてある・・。 登場は二人かと思いきや30人程の合唱団も舞台に上る。 コロスの役目も持っているらしい。 3行ストーリーが載っているチラシだけを読んで劇場に向かったのだがとても新鮮な芝居だった。 新鮮とは合唱が入ったこと、世界を飛び回っているような科白の為である。
「グリーンスリーブス」が最初に歌われたがこれが効いた。 涙が出てきてしまった。 似たような曲が続くので心が安らぐ。 そしてイギリス帆船を見つめるアポリジニの少年の姿が植民地時代のヨーロッパ、中東、アフリカへと広がっていく。 この二つが詩を編んでいるような舞台を作っていく。 柔らかく包み込んでいく理由の三つ目が、銃乱射犯人の少年役小久保寿人の感情を抑えた落ち着いた演技にある。 感情に集中させない演技が事件を分散させる。 一人数役を熟すのだが差異がみえない。 歌、世界、殺人犯が混ざり合っていき叙事詩のような感じを与えてくれる。 場面転換が短く話題が飛ぶのも影響している。 「異国の文化を楽しんでいられるのは上から見ていられる間だけ、自分の民族が上に立っている間だけだ・・」。 この一文で一撃を加えられるが「みんなここにいる・・」と犯人を受け入れる歌で終幕になる。
よく分からない芝居だった。 宗教的な許しのような雰囲気もでている。 面白いと感じたのは確かだ、新鮮だったし・・。 原作にも興味が湧く、たぶん読まないが・・。 しょうがないので帰りにプログラムを買う。 プログラムは疑問に答えてくれるはずだ、問はモヤモヤしているが・・。 このブログを書き終えてから読むことにする。 ところで日本語と英語の字幕が付いていた。 歌詞は字幕があると深く聴くことができる。 耳と目の両方で歌唱を吟味するからだろう。
*NNTTドラマ2019シーズン作品
*劇場、https://www.nntt.jac.go.jp/play/the_events/