■オールウェイズ・カミングホーム

■原案:アーシュラ.K.ル=グウィン,演出:マグダ・シュペフト,テキスト&ドラマトゥルク:ウカッシュ.ヴォイティスコ,ドラマトゥルク:滝口健,出演:荒木亜矢子,稲継見保,鈴木奈菜,モニカ.フライチック他
■東京芸術劇場.シアターイースト,2019.11.8-10
■ダンス・音楽・映像そして身体動作や発声すべてに手製の匂いが感じられる。 例えばウースターグループをヒッピー化したような体現と言ってよいかしら? ニューヨークではなく西海岸の風が吹いている。 作品正題は「アーシュラ・K・ル=グウィン「オールウェイズ・カミングホーム」に着想を得て」。
ル=グウィンの人生生活をエッセイとしてまとめたようにも思える。 それは祖母や父、母という言葉が台詞にたくさん散らばっているからよ。 それに文化人類学を連想させる言葉もね。 北米インデアン等々の神話から採ったようなストーリーだが原作は読んでいないから流れがよく分からない。 肝心な場面にダンスが入る。 これはとても重要なはず。 人類の未来が過去に戻る(SFから神話への)円環の思想も感じられる。 熟してはいないけど、舞台が何であるのか感付いている舞台だった。
アーフタートークを聴く。 席は舞台下手から滝口健、作品翻訳の星川淳、マグダ・シュペフト、ポーランド語通訳、ウカッシュ・ヴォイティスコの5人。
シュペフト:作品には自然優位やフェミニズムが感じられ、現代のポーランド演劇の流れに逆を向いているので取り上げた。
ヴォイティスコ:これは一人の女性の成長物語だ。 マリンスキー(など人類学)も意識している。 濃密な世界をシンプルな言語で表現している。 600頁の原作は人類2万年後の世界を描いていたが15頁にして地球温暖化など自然災害を加えた構成にしている。
星川:15頁でもル・グウィンの思想が体感として伝わってきた。 お見事! フェイスブックにも載せたから読んでくれ。 「二つ巴」のマークが写し出されていたが過去と未来を表している。
シュペフト:一人の女主人公を6人の役者で演じているが、ここに演劇の魂をふき込んだ。 作品の音楽CDは使わず役者たちと作曲した。 映像は具体的な自然風景を流し続けて自然も主役という考えを表した。 以上がトーク概要。
久しぶりにル=グウィンに会えて楽しかったわよ。 1970年頃の彼女の作品を思い出させてくれた。
*F/Tフェスティバルトーキョー19主催プログラム作品
*F/Tサイト、https://www.festival-tokyo.jp/19/program/always-coming-home.html