■ドン・パスクワーレ

■作曲:G.ドニゼッティ,指揮:コッラード.ロヴァーリス,演出:ステファノ.ヴィツィオーリ,出演:ロベルト.スカンディウッツィ,ビアジオ.ピッツーティ,マキシム.ミロノフ,ハスミック.トロシャン他
■新国立劇場.オペラパレス,2019.11.9-17
■オペラ・ブッファの楽しさが一杯詰まっている。 タイトルロールの貴族ドン・パスクワーレは70歳。 彼は結婚したいと言い出すが、舞台は騙し騙され話が縺れに縺れていくの。 結局は老人が諦めて若き恋人同士が結婚に至るいつもの三角関係ね。 終幕、教訓が歌われる。 「年老いてからの結婚は揉め事や苦悩を探すようなもの・・」。 本日の観客への教訓かもよ。 これは芸術監督大野和士の策略に違いない。
登場人物は略4人。 でも若きエルネストただ一人がイタリアの湿度を持っていない。 青春の枯れすすきのようなタイプなの。 ロシアの草原の匂いがするからよ。 これが逆にブッファに一味加えた舞台になっていた。 恋人ノリーナ役ハスミック・トロシャンは若いけど声も演技も立派! 監督が一度彼女を新国立劇場へ招聘したいと言っていた注目の歌手、でも今回は代役だけどね。 パスクワーレ役ロベルト・スカンディウッツィと彼の主治医マラテスタ役ビアジオ・ピッツーティは貫禄十分。 17世紀イタリア貴族の生活風景を面白おかしく楽しませてくれたわよ。 ところでこの作品の日本での上演が少ないのは老人の結婚話の増加で緊張感がなくなってしまったのかも(半分冗談よ)。
装置はよくできていた。 舞台一杯の居間が内側へ包み込んでいき円筒形になると外壁からみる家が出来上がるの。 部屋から家へ、その逆へと三次元展開できる。 空の色、壁の色そして海岸、これらから漂うイタリアの風が舞台に流れていた。
*NNTTオペラ2019シーズン作品
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/opera/donpasquale/
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