■リア王

■作:W.シェイクスピア,演出:ジョナサン.マンビー,出演:イアン.マッケラン他
■ヒューマントラストシネマ渋谷,2019.4.19-25(デューク.オブ.ヨークス劇場,2018.9.27収録)
■英国王室らしい衣装、特に大綬や勲章付きの俳優たちに登場されると無条件でシェイクスピアの本場だと納得してしまう。 後半のリア、グロスター、エドガーの凄まじい衣装・姿との対比が恐ろしく見事だ。 王が鋏でイギリス地図を切り刻むところはブレグジット英国を当に象徴している。
次にコーディリアの、姉たちにも劣らない言葉や表情の強さに目が行く。 ドーバーに上陸した彼女の軍服姿は最後までブレていない。 世界に通用するシェイクスピアの硬さある豊かさが迫ってくる。
イアン・マッケランもリア爺がよく似合う。 なにかと「王だ!王だ!」と口に出し、エドモンドに「年寄りがコケれば若者が伸し上がれる」と言わせるだけある。 ・・リア爺ではなくグロスターのグロ爺だったか? どちらも似たような爺爺だ。
今回は三姉妹だけではなく、ケント、グロスター、エドガー、エドモンドたちの存在もクッキリと浮かび上がり全員野球をしているようだった、もちろん道化も。 演出家の劇場吟味や対話重視の方針が成功している。 極上のドライな味がする舞台だった。
*NTLナショナル.シアター.ライブ2019作品
*作品サイト、http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/ntlout29-king-lear