■花園

■脚本・演出・作曲:伊藤靖朗,出演:溝口琢矢,悠未ひろ,田代絵麻ほか,劇団:舞台芸術集団地下空港
■座高円寺,2019.4.13-21
■知っているような知らないようなストーリーです。 どこか懐かしさがある。 人が木や花に変身する話だからでしょう。
時は鎌倉末期、花々の咲き乱れるとある荘園が舞台です。 さらった人々を花にしてしまう皇女八条院の亡霊が園の主となっている。 主人公の歌人京極為兼の娘は行方不明の父兄を探しに園へ来たが亡霊に捕まってしまう。 しかし後醍醐天皇の討幕の混乱に乗じて園丁竜胆に助けられた娘は兄と再会。 二人は花園を破壊し花々に変えられていた人々を救い出す・・。
この作品はミュージカル仕立てになっているがどれも似たような淡泊なメロディに聴こえます。 「心のままに詞の匂ひゆく」京極家の詠法を取り入れたのでしょうか? そして八条院の広げた根が天井から下がるだけでほぼ何もない舞台です。 控えの役者が両端に座り出番を待っている姿や軽やかな動きや踊りが面白い詩的空間を作り上げていました。
しかし皇統の分裂や討幕は背景史の飾り物にみえ、三種神器や書状(墾田永年私財法?)は舞台を散らかしただけです。 「格差による社会分断、利権のぶつかり合い・・。 「花園」は語るべき時を待ち続けていた・・。」と演出家が挨拶文で言っていたが突っ込み不足に感じる。 その為かもしれないが、・・花園はひっそりと生きながらえているのではないか? などなどを考えながら帰り道の高円寺駅へ向かいました。
*劇場サイト、https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=2089