■愛犬ポリーの死、そして家族の話

■作・演出:根本宗子,劇中楽曲:小春,出演:藤松祥子,瑛蓮,小野川晶,根本宗子,田村健太郎,岩瀬亮,用松亮,村杉蝉之介,劇団:月刊「根本宗子」
■本多劇場,2018.12.20-31
■主人公花の飼い犬ポリーの話が続くのかとみていたら前半に愛犬は死んでしまいます。 しかしポリーの代わりに「先生」が登場する。 先生はSNS友達で花と気が合う。
花には三人の姉がいるから四姉妹ですね。 先生と花の話題に姉たちの家庭がまな板に乗せられる。 これが面白い。 三姉妹の家庭は亭主関白そのままです。 旦那たちが威張っている。 母親に抜いてもらう旦那も登場しますが、これはどうみても漫画でしょう。 威張っている理由はただ一つ、一家を養うカネを旦那が稼いでいるからです。 妻は結局何も言えない。 最後は妻が諦めてなんとか家庭が収まります。
日本の男女平等ランクが世界110位でダントツ最下位のニュースを先日見ました。 しかし女性健康寿命ランクは世界2位の最上位です。 三姉妹の家庭を含め日本の家族構造が変われない理由をこの順位落差が表している。 
しかし舞台はあらぬ方向へ進む。 先生が花だけではなく姉妹たちの生活にも侵入してきます。 ストーカーですね。 花の父は早死にしているので先生は精神的な父親代わりのようにもみえる。 そしてなんと!先生は姉妹を肉体的に傷つけてしまう。 ・・。
しかし花は先生との関係を維持しようと心を砕く。 怒っていた家族もそれを応援するが、舞台は役者たちが役を半分降りてしまう異化効果で進めていきます。 終幕のこの反転場面は何を言いたいのでしょうか? よく分からないで幕が下がってしまった。
「信じる」ことについて演出家が書いている。 「一人の少女が自分と周りを信じて家族を変える」物語だと・・。 花は信用を失った先生をもう一度取り戻す為に、他者を無条件に信じて行動にでたのでしょうか? 師走のためか芝居のまとめを急いだようにみえます。
*月刊「根本宗子」第16号
*劇団サイト、http://www.village-inc.jp/nemoto16/