■青いプロペラ

■作:南出謙吾,演出:森田あや,劇団:らまのだ
■シアタートラム,2018.11.29-12.2
■地方の老舗スーパー「マルエイ」の従業員たちの日々を描く舞台です。 そこへ大型ショッピングセンターが進出してくる・・。
従業員の仕事ぶりがリアルというより写実ですね。 写実が成功している舞台は珍しい。 仕事と科白の細部が活き活きしているからでしょう。 具体から写実への移行の巧さです。 ホキ美術館へ行って写実絵画を観ているようです。
欠点といえば写実からリアルへの転化が弱い。 たとえば役者が何もない空間を見つめる目の動きなどに「・・従業員たちに切迫した様子は無く、どこかその運命を受け入れている」までには到達していません。 抽象化がなされていない。 具体→写実→抽象→リアルを追求する途中にみえます。
でも「・・かつては、マルエイも地元商店に壊滅的な打撃を与え、ここに出店した」社会的営みの繰り返しがジワッと感じられました。 人々の時の流れがみえてくる。 ユニクロやケーズデンキで買ってしまう。 終幕の店長の行動が中途半端になってしまったのは残念です。
*シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.11
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/201811next.html