■ 南島俘虜記

■作・演出:平田オリザ,劇団:青年団
■こまばアゴラ劇場,2017.4.5-23
■緑に囲まれゆらゆら揺れる天井の中にいると心休まりますね。 次の戦争の話らしい。 南島に収容されている日本人捕虜たちが主人公です。 彼らは拘束されているが結構自由にすごしている。 日本社会の縮図のようです。 でも前の戦争の軍歌が歌われiPodの配給もあるので時代も場所もあやふやになっていく。
これは「新・冒険王」の続編でしょう。 「新々・冒険王」と言ってもよい。 冒険王は捕虜に内心はなりたがっているのでは?
退屈についてチラシに書いてある。 しかし舞台に退屈は感じられません。 平田オリザの作品は退屈が見えない。 台詞と台詞の間に緊張感があるからです。 この緊張から役者の存在が立ち現れ、この存在が退屈を演じて観客は<退屈>を感じる。 でも舞台に表れている退屈は世間の延長である捕虜収容所に飽きている(楽しんでいる)だけにみえました。
坂口安吾の戦争の話も退屈とは言えない。 この舞台のように戦争で退屈は描けない。 退屈は人生にとって最高の贈り物の一つだからです。 戦争とは逆の方向にあるものです。 でも退屈な舞台は勘弁してください。 
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/play/4422