■MR.DYNAMITE、ファンクの帝王ジェームス・ブラウン

■監督:アレックス・ギブニ,出演:ジェームス・ブラウン,ミック・ジャガ
■アップリンク,2016.6.18—
■ジェームス・ブラウンとその時代がぎっしり詰まったドキュメンタリー映画である。 彼のダンスと歌唱は一目みれば筋金入りとわかる。 顔も原人のようで野性味がある。 人類の歴史もぎっしり詰まっている感じだ。
1964年TAMIショーでブラウンの次に登場したローリング・ストーンズが子供のように見えてしまった。 比較しても年齢差をはるかに越えた実力がみえる。 これは舞台の外でも同じだ。 1968年大統領選挙で彼が民主党ハンフリー候補を応援した場面ではハンフリーが怖れのあまり縮こまっているのがわかる。 ニクソン大統領も同じだろう。 テレビ番組討論会では出席していた大学教授は彼にまったく歯が立たない。
「ジェームス・ブラウンは4歳で母に捨てられ9歳から売春宿で働いた・・」。 この20文字の素性だけでも凄まじい。 このためかカネへの執着も強い。 いざこざからバンド仲間を即解散し新たなバンドを結成し半年で軌道にのせてしまう。 人間関係と組織統率の激しさは並ではない。
公民権運動の一つ「恐怖に抗する行進」で彼が演壇で歌う場面、キング牧師暗殺直後のボストン公演が暴動寸前になる場面を含め、20世紀後半の合衆国の黒人差別史がモロに出ている。 当にダイナマイトそのままの内容であった。
ところでプロデューサーとして72歳のミック・ジャガーが登場して語るのだが童心に帰ったような笑顔を持ち続けていた。 ここだけは観ていて力が抜けてしまった。 2014年作品。
*作品サイト、http://www.uplink.co.jp/mrdynamite/