■BENTベント

■作:マーティン・シャーマン,演出:森新太郎,出演:佐々木蔵之介,北村有起哉
■世田谷パブリックシアタ,2016.7.9—24
■1934年のベルリン、同性愛者マックスはナチス親衛隊に捕まるが連れのルディを見殺しにして護送列車で出会ったホルストと共に強制収容所に入る。 しかしホルストも力尽き・・。 無関心を強いられる苦しみの時代が続いて行くのね。 粗筋を知らないで観たのはアタリ。
前半はベルリンの怪しい雰囲気が漂っているけど、後半はダッハウ収容所の風景に一変するの。 ナチス親衛隊は異次元からいつも突然に現れる。 それでも「シシュポスの神話」を乗り越えてマックスとホルストの愛は深まっていく。 過酷な労働の休息時間にお互い触れられず見つめることもできない中での愛の行為、次の休息時間では「抱きしめているよ」とホルストの死体に呟く別れ。 遠くを見つめ、ユダヤの黄色から桃色の三角印に着替えて有刺鉄線に向かうマックス・・。
同性愛、特にゲイの場合は友情関係も大事にみえる。 友情が源のような場面が幾つかみられるからよ。 これで異性間の恋愛とは違った雰囲気が表れる。 闘争と征服を感じさせる肉体関係と結び付いて独特の硬さが現れるのね。 生物として心が休まらない硬さなの。 走り続ける愛とでも言うのかしら。 観終わっても走り続けている感じだわ。
*チラシ、http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage59611_1.jpg?1468529657