■ニッポン・サポート・センター

■作・演出:平田オリザ,出演:青年団
■吉祥寺シアタ,2016.6.23—11
■福祉系のNPOや公務員の仕事には疎いが、捩れた人間関係を回復支援する人々の仕事を舞台でみるのは初めてである。
舞台構造が変わっている。 NPO事務室の奥に会議室があるのだが完璧な防音とブラインドで会議の様子を窺うことができない。 お客と所員の肝心な話を聞けない。 このため事務室での雑談で全てを知るしかない。
雑談は劇団の得意とする場面だが、いつもと違ったリズムと緊張感がある。 盗撮問題、夫婦や子供への虐待などの現実を論じているからだとおもう。 演出家は「貧困や格差も・・きちんと見つめて」と言っているが、雑談を観ていると大らかさは有るが「なんとなく違うんじゃないか?」と考えてしまう。 現実と虚構の融合が中途半端にみえる。 科白や微妙な間合いと動きに役者たちの統一感がみえなかったからである。 休息を除き2時間の長さも影響している。 これは観客側の調子にも左右されるので強く言えないが・・。
チラシに「人を助けるとはどういうことか?」とあった。 所員たちが未決事項を所長に振っていたが一見優柔不断の所長は大変である。 近所のサポート・スタッフもいい加減だが「男はつらいよ」を歌うのが即効だと知っている。 このNPOが成功するには、助けると助けられるを同じ比重に近づけるが良いだろう。 これは答えの一つにもなる。
*劇場サイト、http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2016/03/75.html