■負傷者16人

■作:エリアム・クライエム,演出:宮田慶子
■新国立劇場・小劇場,2012.4.23-5.20
■過程が見えないで結論だけで成り立っている芝居ね。 マフムードがパン屋で働いている、ノラがマフムードを愛している、・・・、あらゆる行動がいつのまにか完了しているの。 彼らの心の推移を省いているからまるで事務作業を見ているようだわ。
そして多くの場面に対話が無いのよ。 独り言のようにも聞こえたしオリザ風に言えばこれは会話ね。 ハンスがセリフを忘れているような箇所があったようだけどこれは演出なのかしら?
但しソーニャにナチスに協力したことを話す箇所、マフムードに爆弾テロの指摘をした箇所、この二場面は過程も不要だから少し緊張したけど。 でもこのためだけに2時間以上も演じたようにみえる。
舞台ではパン屋がパン屋に見えない。 職人の働く場所には見えないわ。 映像を被せた場面は冴えていたけど。 全体を通して4人の生活の匂いがまったく感じられない。 パレスチナ問題は一年ぶり(*1)だけど、より過激により遠くに行ってしまった感じよ。
*1、「アライブ・フロム・パレスチナ,占領下の物語」(2011年)
*チラシ、http://www.nntt.jac.go.jp/play/pdf/20000441.pdf