■ソウル市民1919

■作・演出:平田オリザ,出演:青年団
■吉祥寺シアタ,2011.10.29-12.4
■客や家族の出入りがとても激しかったけどそれをまったく感じさせない舞台って素晴らしいわ。 三一運動の最中にオルガンと相撲取りが明るい雰囲気を持ってくる。 これらが混ざり合うと「滑稽な孤独」が現れるということね。
内地へ、満州へ、そして南方へ、京城からの選択は多岐にわたり日本人の不安と希望の心模様がよくみえる。 でも前作より感動は少ない。 うまく言えないけれど「滑稽な孤独」の孤独が深まらなかったからよ。
昔、ソウル旅行でパゴダ公園へ行ったけど日本人はここに入ってはいけない雰囲気を感じたのを覚えているわ。 今はどうかしらないけれど。 そして舞台のダイニングルームからあのパゴダ公園はみえなかった。 だから歴史としての孤独が深まらなかったの。
芝居を観たイ・ユンテクの言葉を聞いて「肩の荷が下りたように感じた」とオリザは書いている。 得意分野の科学シリーズとは違ってしまったということね。 場内で配られたチラシの短い文章はこの芝居の表裏すべてを語っているようにみえるわね。
*劇団サイト、http://www.seinendan.org/play/date/2011?post_type=play