■ソウル市民1939恋愛二重奏

■作・演出:平田オリザ,出演:青年団
■吉祥寺シアタ,2011.10.29-12.4
■たくさんの事件や流行歌、ナッなんとヒトラーユーゲント行進曲まで、盛りだくさんの話題と歌でまるで色とりどりのイルミネーションが点滅しているような芝居ね。 そんな中、寿美子と明夫の気まずい結婚生活が歴史に流されていく様子がよくあらわれている。
チラシでも議論しているけど、志願兵を見送る場面で店員が日本軍歌を歌ったのは戸惑ってしまったわ。 植民地支配下のどうしようもない現実から逃げるための笑顔の志願も「強制的」なのよ、たとえその時に植民地支配の憎しみを持っていなくても。
軍歌を歌い続ける店員に「もうやめろよ」と志願兵が止める場面での二人の演技は緻密で正確さがもっと必要ね。 全体として、場面切替に誰かの恋愛を持ち出す方法はちょっとギクシャクしていたけど4作中一番まとまっていたかな。 
そして前3作の思い出も舞台に堆積していて厚みが加わっているから観ていてジワッときたし、食卓で観客に背を向いて座る場面が多かったけど良い意味で印象深かったわ。
ついでだけど、役者が軽い拒否をする場面に両手を前に出してチャカチャカ振る動作があるでしょ。 この劇団の特技かもしれないけどこのような劇には合わないわ。 前後の礼儀や敬語の流れからもね。
*劇団サイト、http://www.seinendan.org/play/date/2011?post_type=play