■天守物語

■作:泉鏡花,演出:白井晃,出演:篠井英介,平岡祐太,奥村佳恵ほか
■新国立劇場・中劇場,2011.11.5-20
■亀姫が帰るまでの舞台はとてもよかった。 ゆっくりなセリフはだだっ広い中劇場にピタリと一致していて不思議な共感が迫ってきた。 秋草の釣りなど役者の動きも踊りもこれに同調していて申し分がない。 もちろん衣装も、舞台奥に道があることも。
しかし図書之助が登場してから様子が変わった。 全体が歌舞伎調で形重視かもしれないが、図書之助が硬すぎて恋をしている感じがしない。 富姫との恋も深まらない。
前半に時間を使いすぎたのも一因である。 後半の展開が速すぎて、チャンバラにはこの速さが合っていたが、終幕は桃六が少しだけ登場し失明を簡単に直してしまうし、大事な心模様をじっくり表現できないで幕が下りてしまった。
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/play/tenshu/index.html