■白石加代子「百物語」第二十八夜

■演出:鴨下信一,出演:白石加代子
■岩波ホール,2010.12.25-12.26
■池波正太郎「剣客商売天魔」、幸田露伴「幻談」の二題。 物語に引き込まれると舞台上の白石加代子を見ているけれど見ていない状態になります。 そして物語風景が脳の中で現前します。 ここが演劇と朗読の違いです。
演劇は舞台の物語風景と脳で想像した像の二つが舞台上で重なり合います。 像の焦点が舞台か脳かの違いです。 「幻談」で釣舟の浮かんだ海を青い照明で効果を出す場面がありましたが、いきなり脳内風景の焦点が舞台に移り困惑しました。
ところでこの二題、「天魔」のほうがリズムがあり読み手も生き生きしていました。 「幻談」は活字を追うほうが合うのではないでしょうか? 白金、麻布、湯島、本所、そして磯の香り・・・。 どちらも江戸時代の風景が心地良くみえる物語でした。
*CORICHサイト、http://stage.corich.jp/stage/24432