■能楽堂四月「枕童子」「柑子」「松風」
*国立能楽堂四月特別公演の三舞台□を観る.
□仕舞・宝生流・枕慈童■出演:大坪喜美雄,佐野弘宣,佐野由於,金井雄資,藤井秋雅
□狂言・和泉流・柑子■出演:野村萬,野村万蔵
□能・観世流・松風(見留)■出演:観世清和,観世三郎太,宝生常三,野村万禄ほか
■国立能楽堂,2026.4.24
■「枕慈童(まくらじどう)」は、まるで日本酒の宣伝作品のように感じられた。 「・・酔ひに、引かれてよろよろよろよろと」という詞章が象徴的で、さらに薬としての効能まで説くのだから面白い。 観終わったその晩は、つい晩酌の量が増えてしまう。 なお、プログラムでは地謡四人と記されていたが、実際は三人であった。
「柑子(こうじ)」では、太郎冠者が三つ目のミカンを食べてしまった理由を、俊寛僧都が鬼界島に残された故事になぞらえて釈明する。 「三個とも六波羅(=腹)へ帰すべきだ」という言い訳の飛躍が愉快で、引き合いに出した物語との落差が笑いを誘う。
今日の「松風」は、舞台の隅々にまで緊張感が張りつめた、密度の高い上演だった。 地謡は情感の起伏を明確に描き、大鼓は囃子全体を牽引する。 シテの声はよく通り、これらが一体となって観客へと迫ってくる。 まさに統合力の賜物であり、この力こそプロフェッショナルの証と言えるだろう。 面はシテが「節木増」(越前出目作)、ツレが「小面」(大和作)。