■能楽堂九月「才宝」「玄象」
*国立能楽堂九月定例公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・才宝■出演:野村萬,野村万之丞,野村挙之介,野村眞之介ほか
□能・観世流・玄象■出演:片山九郎右衛門,分林道治,長山桂三,観世淳夫,宝生欣哉ほか
■国立能楽堂,2025.9.3
■三人の孫が烏帽子(えぼし)を着せてもらうため祖父を訪ねる話である。 「才宝(さいほう)」は祖父の名前らしい。 祝の酒宴が楽しい。
「玄象(げんしょう)」は琵琶にまつわる伝承をもとにした興味深い作品だ。 琵琶の名手であるワキ役藤原師長(ふじわらもろなが)、文雅に優れたシテ役村上天皇、美しい黒髪を持つツレの梨壺女御。 背景をいろいろ思い出しながら観てしまった。 手に持つ琵琶は名器である玄象そして獅子丸らしい、もちろん張りぼての作り物だが。
リズムある後場が素晴らしい。 龍神の速い動き、シテの早舞は確かな観応えがあった。 面はシテが「笑尉(わらいじょう)」から「中将」へ、ツレは「姥」から「黒髭」へ。
今日は中正面席に座る。 橋掛りから舞台まで一望できるのが嬉しい。 「才宝」では祖父の歩く姿、「玄象」では村上天皇と梨壺女御の入場、龍神の等速度な走り、などなどを堪能した。 歩く姿だけが何故これほどまでに劇的なのか!