■平和の日

■作曲:R・シュトラウス,指揮:準・メルクル,演出:小林輝彦,渡邊仁美,大塚章ほか,演奏・合唱:東京フィルハーモニー交響楽団,二期会合唱団
■Bunkamura・オーチャードホール,2023.4.8-9
■ナチスとの関係はいつもは深入りしないが、この作品は避けることができないようね。 しかも解釈の都合がいくらでも付くから、あらゆる政治的状況に合わすことが可能なの。 1930年後半のドイツはもちろん、今のウクライナでもロシアでも上演できそう。
粗筋はシンプルで上演時間も長くはない。 セミ・ステージ形式にはもってこい。 しかも2000席の大劇場で一回公演のためか、旧教徒司令官とその妻マリアを含めて歌唱に力が籠もる。 新教徒を迎い入れた大団円では平和讃歌の絶唱で終わる。 ワーグナー的手法も感じられるが、むしろベートーヴェンに近いかな。 「ばら騎士」「カプリッチョ」とは真逆の世界でプロバガンダ的と言わざるをえない。 時代が招き寄せてしまった作品と言ってもよいわね。
*東京二期会コンチェルタンテ・シリーズVol.5