■能楽堂十一月「悪太郎」「羽衣」

*国立能楽堂十一月度定例公演の下記□2作品を観る。
□狂言・大蔵流・悪太郎■出演:山本則重,山本泰太郎,山本則孝
□能・金剛流・羽衣■出演:豊嶋彌左衛門,福王茂十郎,矢野昌平ほか
■国立能楽堂,2022.11.9
■「悪太郎」の飲みっぷりは豪快である。 何杯でもいける。 涎がでた観客も多いはずだ。 後半、仏教への接近は話が飛び過ぎる。 しかし江戸時代の信仰は日常の一コマなのかもしれない。 特に悪太郎は信仰の高揚と酒の酔は同列とみているのだろう。
「羽衣」はシテの姿勢が天女にみえない。 声は響いていたが身体がそれに付いていない。 老化天女だ。 能面は増。
シテが科白を忘れたり飛ばしたりすることはよく有る。 前者は地謡が小さな声で教える。 後者はシテの次声に周囲が合わせていく。 どちらも観ていて気にならない。 リピートが容易な能楽はリカバリが早いからだ。
ところで当舞台は金剛流の盤渉(ばんしき)という小書が加えられた。 序ノ舞で笛が甲高い音律に変わる。 どこかで聴いた音色だ。 何回も繰り返すので懐かしさが漂ってくる。 遠い記憶のなかを彷徨ってしまった。