■眠れない夜なんてない

■作・演出:平田オリザ,出演:猪股俊明,羽場睦子,山内健司ほか,劇団:青年団
■吉祥寺シアター,2021.1.15-2.1
■幕が開いて・・、科白のリズムが外れているように感じた。 役者が喋り難いようにみえる。 間の取り方も。 練れてないのかな? 今日は楽日だが・・。 前半の終わり、杉原と中岡の両夫妻がソファーで趣味や各地の評価をした場面からリズムが整い面白くなってきた。
1988年、マレーシアに定年移住をした夫婦たちの施設が舞台である。 戦前派が多いが訪ねてくる子供たちは戦後派つまり団塊の世代だ。 観ながら、あと数年でこの舞台が一回転する昭和100年問題を考えてしまった。 昭和63年は行先があったが昭和100年はそれが見つからない。 この差はグローバル下の均一化もあるが日本が貧しくなっているからだと思う。
舞台はいつのまにか戦争の話になる。 当時のマレーシアは大戦の跡が残っていたのだろう。 そこから銀輪部隊、加藤隼戦闘隊、マレーの虎、そしてハリマオ・・。 夫婦たちは実際のハリマオ、子供たちはテレビの怪傑ハリマオとシンクロするのが面白い。
終幕、病気で余命短い親が「日本に帰りたくない」と言う。 子供たちはその真意がわからない。 そして昭和の終わりがみえてくる・・。 兄を戦争で失った戦中派三橋の口を借りて、国家に裏切られた戦前派の最後の抵抗が語られる・・。 「天皇より早く死ねるか!」
*青年団第84回公演
*2021.2.15追記・・まねきねこの「演劇◎定点カメラ」でアフタートーク感想を読んでいたら「東京ノート」の「東京物語」と同じく「晩春」をモチーフにしていると知って驚く・・。