■カルメン

■作曲:G・ビゼ,指揮:Y・アベル,演出:鵜山仁,出演:E・マクシモワ,M・ジョルダーノ,G・ブレッツ,砂川涼子,演奏:東京交響楽団
■新国立劇場・オペラパレス,2017.1.19-31
■背景の煙草工場や密輸業者、故郷の母や許嫁の行動が古くも懐かしさのある日常世界を連れて来る。 その世界にいるホセはカルメンとエスカミーリョのいる非日常に引っ張られていく。 この日常と非日常の何とも言えない混ざり合った哀愁が舞台に漂う。 人は非日常へ行かなくてはならない時がある。 前奏曲を聴くといつもそう思うの。
でもマッシモ・ジョルダーノの作品解釈も面白い。 ホセは非現実世界を生きている人。 彼にとって母や許嫁の現実世界は上の空なの。 そしてカルメンこそが彼が現実世界に戻る導きの人。 「自分とやり直す気はないか?」。 彼が現実へ戻る時カルメンは救世主でなかったことを知る・・。 なるほど。 読み応えあるインタビュー記事だった。
合唱団で舞台は駅のラッシュアワー並みの混雑だけど、演出は主歌手の邪魔をしないように気を配っている。 2幕途中から歌唱が安定してきたようね。 演奏も心地よかったわ。
*NNTTオペラ2016シーズン作品
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/151224_007957.html