■アナスタシア

■振付:K・マクミラン,音楽:P・チャイコフスキ,B・マルティーヌ,指揮:S・ヒューエット,出演:N・オシポア
■TOHOシネマズ六本木,2017.1.13-19(ROH収録)
■ロシア皇帝ニコライ二世の娘アナスタシアの生まれ変わりだと名乗る女性が主人公です。 彼女にアナスタシアが乗り移ってしまった! そして精神病棟で過去の回想、妄想や悪夢の中のアナスタシアを踊る。 ナタリア・オシポアは適役ですね。 ロシアの狂気が漂っています。
初作の激しい精神的な一幕ものからアナスタシアの楽しかった少女時代と舞踏会デビューを追加して全三幕にしたらしい。 音楽もチャイコフスキを選び淡々とした青春時代を描き出している。 衣装や舞台美術もなかなかでした。
当初からある三幕だけでは物語を語り切れないと振付家は考えたのではないでしょうか。 しかし追加した一幕・二幕は逆に解説的過ぎる。 物語を平凡にしているだけです。 また彼女=アナスタシアの精神錯乱はソビエト革命が原因のようですが結局は分からない。 祈祷僧ラスプーチンの影が目につくのも余計混乱します。
ROHでは13年ぶりの再演らしい。 上演されなかったのは長所より短所が目立つ作品だからでしょう。 一幕物のままで磨きをかけても面白い作品になったかもしれません。
*英国ロイヤル・オペラ・ハウス2016シネマシーズン作品
*作品サイト、http://tohotowa.co.jp/roh/movie/anastasia.html