■遥かなる愛

■作曲:K・サーリアホ,指揮:S・マルッキ,演出:R・ルパージュ,出演:S・フィリップス,E・オーウェンズ,T・マムフォード
■新宿ピカデリ,2017.1.21-27(MET,2016.12.10収録)
■初めてみる作品は劇場へ向かうのが楽しい。 騎士歌人ジョフレが理想の女性を求める物語なの。 はたして彼は巡礼旅人を介して女伯爵クレマンスを知る。 彼女に会うためトリポリに向かうが恋心の重圧で病になってしまう。 ついにジョフレは彼女の腕の中で息絶える・・。
12世紀の騎士道と貴婦人のプラトニック・ラブを描いていてとても叙情詩的なストーリなの。 演奏も歌唱も静かにしかし冷たく強く進む。 これがフィンランド風と言うのかもしれない。 作曲家も指揮者もフィンランド製よ。 <遥かなる愛>がそのまま表現されているからモドカシイ。 愛が昇華されない。 ジョフレが精神的にあまりにも弱すぎるからだとおもう。 でもいつの時代にもありそうなことね。 
ところで舞台美術は最高。 海面の光の揺れが素晴らしい。 本物の舞台で観たいわね。 「指輪」(R・ルパージュ演出,2010年)ではアッと驚く装置を見せつけられたけど今回の光も驚きだわ。 クレーンをそのまま登場させたのはルパージュ好みだがスタッフ間では議論があったはず。 全てがいつもと違って変わった味のする作品だった。
*METライブビューイング2016作品
*作品サイト、http://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2016-17/#program_03